ドライアイ

ドライアイイメージ

涙の分泌量の減少や質の低下により、目の表面が乾きやすくなってしまうのがドライアイです。ドライアイになると、目にゴロゴロとした不快感があったり、視力が低下したり、眼精疲労を起こして日常に様々な支障をきたしてしまう場合もあります。

原因としては、加齢による涙の分泌量の減少、パソコンなどの端末を長時間にわたって見続けるVDT(Visual Display Terminals)作業や運転などによる瞬きの回数の減少、コンタクトレンズの装用、エアコンなどによる室内の乾燥、薬物の影響、喫煙、緊張・ストレス、全身の病気(シェーグレン症候群等)などが挙げられますが、涙自体の質の低下も大きな要因になります。

治療としては主に点眼薬を使用します。人口涙液(涙の成分に近い)やヒアルロン酸(涙をとどめて乾燥を防ぐ)、さらには涙の分泌量を増やすものや、ムチンを増やすものもあります。薬物治療によっても症状の改善が進まない場合は、涙が排出される涙点に微小な「栓」をはめ込み、涙の排出量を減らす「涙点プラグ」というものを使用しドライアイを改善します。この治療は点眼による部分麻酔を施し、外来にて行えます。

結膜炎

結膜炎イメージ

結膜とは瞼の裏側から眼球の強膜(白目の部分)を覆っている半透明の薄い膜で、眼球への異物の侵入を防ぐとともに、表面に涙の層を作って潤す役割を持っています。この結膜が様々な原因で炎症を起こすのが結膜炎で、結膜の充血や目やに、腫れ、かゆみ、異物感などの症状が現れます。

原因としては、大きく「細菌性結膜炎」「ウイルス性結膜炎」「アレルギー性結膜炎」の3つに分けられます。

細菌性結膜炎

細菌の感染により炎症を起こすもので、黄ばんだ目ヤニや目の充血、むくみ、出血、まぶしさや涙目などの症状が現れます。小児や高齢者、さらにコンタクトレンズを使用している方に発症しやすいのが特徴です。

原因となる細菌としては、黄色ブドウ球菌や肺炎球菌、インフルエンザ菌など身近に存在する一般細菌と呼ばれるものや、クラミジア、淋菌など性感染症の原因となるものがあります。後者は性交渉を介して感染が拡大し、母親が感染している場合は、産道を通じて赤ちゃんに結膜炎が起こる場合もあります。

ウイルス性結膜炎

ウイルスに感染することで発症するもので、原因となるウイルスとしては、アデノウイルスやエンテロウイルス、コクサッキーウイルスなどがあります。

アデノウイルスは「流行性結膜炎(はやり目)」や「咽頭結膜炎(プール熱とも呼ばれます)」の原因となるもので、粘膜の充血や目ヤニなどの症状がみられ、後者ではのどの痛みや発熱も見られるもので、プールを介して子供たちに広まることが多いことからこの名があります。

アレルギー性結膜炎

アレルギー性結膜炎は、アレルギー反応によって引き起こされる炎症で、原因物質(アレルゲン)としては花粉(季節性アレルギー性結膜炎)や、ハウスダスト(通年性アレルギー性結膜炎)などがあります。かゆみ、粘膜の充血、涙や目ヤニなどの目の症状のほか、くしゃみや鼻水、鼻つまりなどの症状を伴う場合もあります。

アレルギーが原因のものとしては他に、アトピー素因が影響しているとみられるアトピー性角結膜炎、春季カタル、コンタクトレンズの装用が引き起こす場合がある巨大乳頭結膜炎などがあります。

ものもらい

ものもらいイメージ

「ものもらい」は、地域によっては「めばちこ」「めいぼ」などとも呼ばれるもので、医学的には「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」というのが正式名称です。この他、ものもらいとは異なりますが、似た症状のものに、「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」があります。

麦粒腫(ばくりゅうしゅ)

瞼(まぶた)の縁や内側に細菌が感染して炎症を起こし、赤く腫れるもので、痒みや痛みを伴う場合があります。ゴロゴロとした違和感や目ヤニが出ることもあります。炎症が悪化すると、それらの症状が強くなり、化膿が進行します。腫れがひどくなると自然に破れ、膿が排出するされることがあり、膿が排出されることによって症状が改善していく場合もあります。

治療としては点眼薬や目軟膏の抗菌薬を用います。進行度合いによっては内服薬を用いる場合もあります。また化膿が進行している場合は、切開して膿を排出することもあります。

霰粒腫(さんりゅうしゅ)

霰粒腫は細菌の感染によるものではなく、マイボーム腺の出口が詰まり、慢性的な炎症を引き起こすことで肉芽腫というものができる病気です。痛みなどはありませんが、コリコリとしたしこりができ、異物感が生じます。小さなもので張れば、自然に吸収されることもありますが、大きくなってしまった場合は、副腎皮質ステロイド薬の軟膏や、手術による摘出が必要になることもあります。